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2018年 12月 28日
背景Visual Studio や dotnet CLI + お好みのエディタなどを使っての、ASP.NET Core Web アプリを開発中の話。 開発中の ASP.NET Core Web アプリを、エミュレータではない実機のモバイル端末 (iOS や Android など) から接続して動作確認したいことはよくある。 その実現方法としては、例えば ngrok を使ってローカル開発中の ASP.NET Core Web アプリをインターネット上に晒し、そこにモバイル端末実機のブラウザから接続しにいくのもアリではある。 とはいえ、開発途上のものを、一時的とはいえインターネット上に晒すのは危険が伴う。 そもそも通信経路が長くなる上、ngrok の処理性能やモバイル回線の速度・帯域にも大きく左右されて、すばやい動作確認、トライ&エラーの繰り返しがやりにくい。 ということで、顧客に見てもらうなどの理由がない限りは、開発機と同一ローカルエリアネットワークに Wi-Fi 接続したモバイル端末実機から、同ネットワーク経由で接続するのが普通かと思う。 ただ、ASP.NET Core Web アプリの既定のプロジェクト構成では、開発中の ASP.NET Core Web アプリはローカルホスト (127.0.0.0/24, ::1) でしか待ち受けしていない。 なので、当該開発機の外部からは、そのままでは接続できない。 そこで、プロジェクト構成を変更する必要がある。 Visual Studio 上からの設定変更Visual Studio で開発中の場合、お勧めの方法は以下のとおり。
以上で Ctrl+F5 で実行などすれば、当該開発機の外部からも、この ASP.NET Core Web アプリが接続を受理、応答を返すようになる。 なお、上記で行なった設定内容は、Properties フォルダ内にある、「launchSettings.json」というファイル名の JSON ファイルにその設定内容が保存されている。 例えば次のとおり。
"dotnet run" で実行する場合dotnet CLI を用いた "dotnet run" による実行でも、上記 launchSettings.json に基づいて ASP.NET Core Web アプリを立ち上げる。 なので、 dotnet CLI を使っての開発中の場合でも、上記のように launchSettings.json を作成・記述しておけばそれだけでよい。 また、先の説明では端折ってしまったが、設定のキモは、環境変数 ASPNETCORE_URLS の設定である。 標準のプロジェクトテンプレートで作成された ASP.NET Core Web アプリであれば、環境変数 ASPNETCORE_URLS を見て、そこに設定されている待ち受け URL を採用するようにできているのだ。 先で説明している launchSettings.json の内容も、要するに環境変数 ASPNETCORE_URLS を設定しているわけである。 なので、launchSettings.json がなくても、コマンドプロンプト (ターミナル) で下記のように環境変数 ASPNETCORE_URLS を設定してから dotnet run を実行することでも OK だ。
※ "dotnet run" を実行したコマンドプロンプト (ターミナル) 内で環境変数 ASPNETCORE_URLS を設定しつつ、 launchSettings.json でも環境変数 ASPNETCORE_URLS を設定していた場合は、 launchSettings.json の設定のほうが優先する。 補足: アプリケーション URL を設定すればよいのでは?ホストアドレスに「0.0.0.0」を指定実は、Visual Studio での設定時、環境変数 ASPNETCORE_URLS ではなく、[アプリケーション URL] に、「https://0.0.0.0:5001;http://0.0.0.0:5000」というように、ホストアドレスを「0.0.0.0」とした待ち受け URL を設定することでも、外部からの接続を受け付けるようになる。 但し上図の設定だと、IPv4 アドレスでのみ待ち受けすることになるので注意。 すなわち、開発機上のブラウザでアドレスバーに「https://localhost:5001」や「http://127.0.0.1:5001」と入力するぶんには当該 Web アプリにアクセスできるものの、IPv6 アドレスである「https://[::1]:5001」を入力すると、接続不能となるのである。 まぁ、「開発中の Web アプリをモバイル端末実機で確認」という用途であれば、IPv4 アドレスのみでの待ち受けで十分事足りる気もする。 なので、実際上は、上図のようなアプリケーション URL 設定による方式で十分かもしれない。 もっとも、IPv6 アドレスでも待ち受けさせることももちろん可能で、その場合はホストアドレスとして「[::]」を指定すればよい。 例えば「https://0.0.0.0:5001;http://0.0.0.0:5000;https://[::]:5001;http://[::]:5000」というようにアプリケーション URL を設定すれば、IPv4 でも IPv6 でも、外部からつながるようになる。 ただ、ちょっと設定が長すぎではある。 アプリケーション URL 設定で、ホストアドレスに「*」を指定しないのはなぜ?アプリケーション URL 設定に、(環境変数 ASPNETCORE_URLS での設定と同じように)「https://+:5001」とか「https://*:5001」 のように、ホストアドレスとして「+」や「*」を指定すれば、 IPv4 と IPv6 の設定を併記しなくて済むのでは? とも思われた。 試しにやってみたところ、 launchSettings.json を直接編集して "applicationUrl" に "https://*:5001" を設定し、dotnet run で実行するぶんにはうまくいった。 しかし launchSettings.json がこの状態で、当該プロジェクトを Visual Studio で開き、Ctrl+F5 実行すると、「Invalid URI: The hostname could not be parsed.」というエラーメッセージボックスを表示して起動してくれない。 また、Visual Studio 上からは、アプリケーション URL に + や * をホストアドレスとした URL を設定すると入力検証エラーになって設定できない。 加えて、先のとおり launchSettings.json を直接編集した状態でプロジェクトのプロパティ画面から [デバッグ] セクションを開いてしまうと、場合によっては入力検証エラーに阻まれ、プロパティ画面を閉じたり保存したりができなくなり、どうにもならない "詰んだ" 状況に陥ってしまう。 ...これらのことから、環境変数 ASPNETCORE_URLS に待ち受け URL を設定する方式がいちばん一貫性もあり、自分のお勧めの方法と結論づけている。 補足: [ブラウザを起動] の URL を明記するのはなぜ?dotnet run で実行するぶんには、 launchSettings.json の "launchUrl" は無くても (あるいは空文字であっても) なんら問題ない。 本稿作成時点では、dotnet run では、ブラウザの起動までは行なわないからだ。 しかし Visual Studio 上で開発・実行してブラウザも開きたいというケースでは、[ブラウザを起動] の URL を明記しておかないと厄介なことになる。 まず、環境変数 ASPNETCORE_URLS に待ち受け URL を設定する方式の場合、Ctrl+F5 実行すると、Web アプリのプロセスは起動するものの、Visual Studio がエラーメッセージボックスを出してブラウザ起動に至らない。 また、アプリケーション URL にホストアドレス 0.0.0.0 で設定する方式の場合、Ctrl+F5 実行すると、ブラウザは起動するものの、「https://0.0.0.0:5001」という URL を開いてしまってアクセスできない結果となる。 なので、少なくとも Visual Studio 上での実行でブラウザも同時に開きたいケースでは、ちゃんと [ブラウザを起動] の URL を明記しておくに越したことはない。 補足: IIS Express での実行時について書かれてないけど?需要と余力があれば調べて試して本ブログに投稿する...かもしれない。
by developer-adjust
| 2018-12-28 22:37
| .NET
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